本物が、選ぶ道。

本物が、選ぶ道。

〜フランス国家資格を持つ醸造士、イゴールの話〜

ストラスブールの街の中心部に、オスピス・ド・ストラスブールという施設があります。

 

数百年の歴史を持つこの場所は、もともと中世ヨーロッパの病院として生まれました。

 

当時の病院は、現代のような医療機関とは少し異なる存在でした。

 

病気の人々に食事を提供し、体を休める場所を与える、療養所としての役割が中心でした。

 

そしてもう一つ、重要なことがあります。

 

中世ヨーロッパでは、水よりもワインの方が衛生的で安全とされていました。

 

病院でワインが飲まれていたのは、嗜好品としてではなく、生きるための飲み物として必要だったからです。

 

病院を頼った人々は、その対価として食料や土地、そして葡萄畑を納めることがありました。

 

こうした歴史的な背景から、フランスでは病院がワイナリーを所有し、地下に広大なセラーを持つということが珍しくありませんでした。

 

オスピス・ド・ストラスブールも、そうして受け継がれてきた歴史的なワインセラーを地下に持っています。

その遺産を守るために、ワイン生産者たちは組合を作りました。

 

長い年月をかけて積み重ねられた文化と品質を、途絶えさせないために。

 

その組合の中で、最高醸造責任者を務めているのがイゴールです。

 

フランスの国家資格を持ち、歴史的なセラーを任される立場、それは、実力を持つ者にしか与えられない役割です。

 

小さな場所を、選んだ理由

 

そのイゴールが、ある日小さなブランドを立ち上げました。

 

大きなシャトーでも、有名な産地でもありません。

 

ストラスブールの街の中の、こじんまりとした場所で。

 

なぜか。

 

「ワインから離れていく若い世代に、もう一度ワインを好きになってほしい。」

 

その言葉を初めて聞いたとき、私は少し驚きました。

 

これだけのキャリアを持つ人が、あえて小さく、地道な場所を選んだ理由が、名声でも利益でもなく、ただその一心だったからです。

 

本物の人間は、こういう選択をするのだと思いました。

Niderwindという名前

 

ブランド名の「Niderwind」は、アルザス上空を吹き抜けるエネルギッシュな風の名前です。

 

目に見えないけれど、確かにそこにある力。

 

イゴールがワインに込めたいものが、この名前にそのまま表れている気がします。

日本に届けたいと思った理由

 

私がワインの仕入れで一番大切にしていることがあります。

 

その人の話を聞いたとき、この人のワインを飲みたいと思えるかどうかです。

 

イゴールの話を聞いたとき、答えはすぐに出ました。

 

若い世代にワインを届けたいという想いは、私も同じです。

 

ワインは難しいもの、特別な日のもの、という距離感をなくしたい。

 

Amusez vousを始めたときから、ずっとそう思ってきました。

 

イゴールが目指すものと、私が目指すものが、どこかで重なっていました。

私がワインを選ぶとき、必ず生産者と話をします。

 

資料やスペックだけでは分からない、その人の言葉と温度感を、自分の目と耳で確かめるためです。

 

Niderwindも、そうして選んだワインです。

 

Niderwindのワインはこちらからご覧いただけます。 → Niderwind