最初に選ぶなら、緊張させない白がいい

ワインを飲むとき、最初の一杯には独特の緊張があります。
味がわかるだろうか。
ちゃんとした感想が言えるだろうか。
知らないうちに、構えてしまう人は少なくありません。
First Glass Setの最初に白ワインを置いたのは、何かを理解してもらうためではなく、その緊張をほどくためでした。
この白に求めた条件は、とてもシンプルです。
飲んだ瞬間に、「考えなくていい」と身体が判断すること。
香りや味を言葉にできなくても、ただ、自然にグラスが進むこと。
爽やかさやフレッシュさといった言葉は、このワインを選ぶ基準にはなりませんでした。
それらは、後からいくらでも説明できてしまうからです。
大切にしたのは、飲み手がワインに向き合わなくていい状態を作れるかどうか。
静かで、押しつけがましくなく、「嫌われない」ことを第一に考えました。
実は、味としてはもっとわかりやすい白も候補にありました。
飲みながら「どう感じるべきか」を考えさせてしまう気がしたのです。
最初の一杯には、その問いすら不要だと思いました。

この白は、強く主張するワインではありません。
でも、飲み終えたあとに、「あ、さっきの白、よかったな」とふと立ち返れる余白を残してくれます。
ただ心地よく、次の一杯へと気持ちをつないでくれること。
そして、その静かな印象が、最初の記憶として、きちんと残ること。
First Glass Setの入口として、その役割を果たしてくれる一本です。
▶︎この文章で触れたワインは、First Glass Setの一部です

