ワイン樽について

ワイン樽について

よくワインの説明で、「樽熟成をしています」や「樽香を感じます」などの表記を見かけ、「樽」とは?と思ったことはありませんか?

 

 

ここでいう「樽」の材料に使われる木材は「オーク」で、オークの樽で熟成をすると、木材からのバニラ香やココナッツ香を感じたり、木材由来のポリフェノールなどを含有したタンニンが溶出してワインに風味が加わります。

 

オーク材はフランス、スラヴォニア、アメリカ、ロシアなどの産地があり、屋外で2~3年自然乾燥してから使われています。

 

「フレンチオークを使用しています」などと記載されているのはフランス産のオーク材で出来た木樽を使用しているという意味です。

 

産地によって、ヴァニラ香やココナッツ香が強く出たり控えめになったり、タンニンが多めだったり少なめだったりと、生産者が目指す味わいによって使うオークが選ばれます。

 

またオーク樽を内側からトーストすることで、クローブやナツメグの香りを持つ成分が生成されて、また違った風味が加わります。


焼き加減によって「ライト」「ミディアム」「ヘヴィ」とレベル分けされるのですが、たくさんローストするにつれ、ロースト香が強くなり、樽からのタンニンが少なくなります。

 

もう一つ風味が変わるポイントとしては、香りがしっかりとつく「新樽」をどのくらい使うのか、樽香を付けないように敢えて古樽だけを使うのか。

 

というところです。

 

「たまにフレンチオークだから素晴らしい」「新樽100%だから素晴らしい」という意見がありますが、フレンチオーク=素晴らしい!新樽を使っている=素晴らしい!は間違いです。

 

(フレンチオークは高いですし、新樽もコストがかかっているのは事実です。)

 

生産者の目指す味わいのワインと樽が合っているということが一番大切です!

 

そしてなかなか日本で知ることがなく、私が生産者から言われて驚いたのは、同じオーク材、同じロースト具合の樽でも大きさによって全く香りの付き方が変わるということです。

 

例えば私の仕入れるCol di Lamo(コル・ディ・ラモ)のブルネッロ・ディ・モンタルチーノは、スラヴォニアンオーク樽とフレンチオーク樽の大きさの違うバリックやトノーを使い分けて造られています。(バリック:225L、トノー:バリック4本分)

 

醸造家のジョヴァンナは、生産するワインによって使う樽、熟成期間を変えて、味わいを決めていきます。

 

その年の葡萄の出来よってそれは変わりますし、途中で別の樽に移して熟成をするなど、全て彼女の匙加減で決まります。

 

 

残念ながら世の中には、ただただ大量生産の為の品質の悪さを隠すために樽の香りをしっかりと付けたワインというものも存在します。

 

「オークチップ」と言ってフレーバーのついた木片をワインに浸漬して香り付けをするという方法ですが、オーク樽の心地良さとは程遠い違いを感じます。

 

素晴らしい樽香を感じるワインはとても心地良いですし、試していただくのであれば、素晴らしい造り手の計算しつくされた樽熟ワインを是非!