ワインの「澱」とは?

ワインの「澱」とは?

赤ワインのボトルの底に溜まっている黒い沈殿物を見かけたことはありませんか?

赤ワインをあまり飲まれないお客様は驚かれる方もいますが、この正体は熟成中にタンニンやポリフェノール、タンパク質などの成分が結晶化した「澱」です。

 

*たまに、口に含んでしまい心配されるお客様もいますが、澱は健康上には何も影響のないものです。

 

ワインが出来てすぐはタンニンやポリフェノール、タンパク質などの成分は別々に液体中に浮遊しているのですが、熟成過程で少しずつワインが空気となじみ、それぞれの成分が結びつき結晶化します。

 

イメージしてみてください。

 

若いワインで、口当たりがとても硬く、ざらざらとした渋みを感じることがありますよね。

 

そして、熟成を経たワインが柔らかくふくよかで飲みやすく感じることはありませんか?

 

これは、タンニンなどの成分が最初は細かい粒で、口当たりがザラザラとしていますが、成分が結びついて粒が大きくなることで口の中で柔らかく滑らかになっていくという現象です。

 

そしてもっと大きくなった粒は澱として沈み、余分なタンニンが抜け落ちると角が取れ、柔らかく滑らかなワインが出来上がります。

 

長期間熟成させたワインに澱がよく見られるのはそのためです。

 

またタンニンの多いワインで澱がたくさん発生するのもこのためです。

もう一つ。

 

私の仕入れるワインは極力余分なものは添加しないで自然の味わいをと考える生産者が多いのですが、生産者の中には濾過をしなかったり、清澄化をしない(薬品を使用して透明度を上げない)製法を取る方もいます。

葡萄本来の味わいが楽しめるのが最大の魅力です!

 

濾過や清澄化をしないと澱の元となる成分も多く含まれ、それほど熟成期間を経ていなくても澱が多く発生しているワインもあります。

 

澱のあるワインを飲む時は…

 

買ってきてすぐに飲むのは避けて、数日間動かさずに置いておき、澱が沈むのを待ってください。

 

抜栓しグラスに注ぐ時にも出来るだけ動かさずに、そっと注いでください。

 

そして、澱をグラスに入れないようにするため、注ぎ切らないでくださいね。

 

健康に害はありませんが、口あたりは良くないので、ワインに舞わないようにする方が美味しく飲んでいただけます。

 

デキャンタをするのも一つの方法です!

 

ですが、なかなかお家で飲む時にはデキャンタはしませんよね。

 

私も家でデキャンタを使うことはまずありませんので、澱のあるワインはそっと注いで楽しんでいます。

キラキラと光る酒石酸やカリウムなどのミネラル成分が結晶化した「澱」に似た「酒石」と呼ばれるものがありますが、それはまた次回お話しします。

 

私のコラムはお客様がお家でワインを楽しんでいただく際に、より楽しい時間を過ごしていただけたらという想いで書いているものです。

 

お客様のワインの楽しみ方の幅が広がれば嬉しく思います。